Honda × アビームコンサルティング
スペシャル座談会

電動車両からの外部給電を社会に広め、クリーンな電気を地域に届ける

当社では、本田技研工業株式会社(以下、Honda)様とパートナーシップを結び、同社が実施するFCV(燃料電池自動車)・EV(電気自動車)などを活用した外部給電の社会浸透活動を支援しています。本活動は、CO2削減や防災対応力の強化に加え、街頭イベントへの活用など新たな地域活性化の提案にもつながる取り組みです。本活動のさらなる展開に向け、両社担当者による座談会を開催しました。
  • Hondaの取り組み

    水素をエネルギーとして活用することで、CO2や有害な排出ガスを出さないFCVを世界に先駆けて実用化し、普及に向けた取り組みを推進しています。その一環として、FCVやEVの外部給電機能を活用し、V2H※1やV2L※2の実証実験やプロモーションを行っています。
  • アビームコンサルティングの取り組み

    Hondaが描く将来のエネルギー社会に共感し、FCVやEVなどの外部給電機能を社会に広める活動を支援しています。特に、当社が培ってきたコンサスティングスキルと独自のネットワークを活用し、外部給電の有効性を社会にアピールするための仕組みづくりや、プロモーションの企画・実施を担っています。
※1 V2H(Vehicle to home): 自動車で発電した、または蓄えた電力を家庭用電力として利用する仕組み。
※2 V2L(Vehicle to Load): 自動車で発電した、または蓄えた電力を電気機器に供給する仕組み。

座談会参加メンバー

Honda

本田技研工業株式会社 ビジネス開発統括部 スマートコミュニティ企画室 参与
松嶋 稔郎 様 本田技研工業株式会社 ビジネス開発統括部 スマートコミュニティ企画室 主任
八方 理恵 様 株式会社本田技術研究所 汎用R&Dセンター 第3開発室 主任研究員
江口 博之 様
×

アビームコンサルティング

公共ビジネスユニット シニアマネージャー
江井 仙佳 公共ビジネスユニット シニアコンサルタント
中尾 誠

国土強靭化を目指す組織での出会いが、共同プロジェクトのきっかけに

江井
本日は座談会にご出席いただきありがとうございます。FCVやEVなどの外部給電プロモーションを2015年12月と2016年2月に実施し、Honda様とのパートナーシップによる活動も順調に進展しています。本日はこれまでの活動を振り返り、今後の取り組み強化につなげていきたいと考えています。早速ですが、当社との一連の活動が始まったのは、2014年の夏に松嶋さんとお会いしたのがきっかけでした。
松嶋
レジエリンスジャパン推進協議会ですね。
江井
この組織は民間企業が国土強靭化をリードしていくという趣旨でつくられたもので、そのワーキンググループでご一緒させていただきました。約20社の民間企業が参加し、スマートコミュニティ構築やエネルギーレジリエンスへの外部給電機能の活用方法を、ともに考えさせていただきました。

外部給電器の完成により、将来のエネルギー社会に向けた取り組みが加速

松嶋
もともと私は、四輪事業本部でFCVの開発に携わっており、大きな発電能力を有するFCVなら0ではの特色を強めるために外部給電器の開発を研究所に依頼しました。それが可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」が誕生するきっかけとなりました。しかし直後に、スマートコミュニティ企画室に異動することになり、自ら開発を依頼したPower Exporter 9000に、営業の立場で携わることになったのです。
江口
研究所に所属し、松嶋の開発指示書を受け取ったのが私です。その後、開発責任者として、Power Exporter9000の開発を推進しました。もともとHondaの汎用製品の1つであるエンジン発電機の研究開発を担当しており、その技術を応用する形でPower Exporter 9000の開発を行いました。

可搬型外部給電器
「Power Exporter 9000」

外部給電機能を備えた次世代環境車(FCVやEVなど)と簡単に接続でき、最大9kVAの出力が可能。車両からクリーンな電気を受け取り、家庭用の電気機器に供給できます。

八方
私は、2015年10月からPower Exporter 9000の担当チームに所属し、松嶋とともに事業化企画・プロモーション業務などを担当しています。
中尾
Hondaさんの取り組みが一段と強化されたのが、ちょうど2015年の秋でしたね。
八方
Hondaは2015年10月の展示会でPower Exporter 9000を初披露しました。これにより、水素エネルギーを「つくる」「つかう」に「つながる」を加えた、私たちの目指すべき将来のエネルギー社会の全体像を具体的に提示することができたのです。
江井
エコロジーな電気を使って水素をつくり、それを車に充填して排気ガスゼロで走る。そして、普段の駐車場や移動先などで、止まっている時に発電して外部にクリーンな電気を供給する――この外部供給すなわち「つながる」の部分を、社会にしっかり提示していこうという段階に来たということですね。

外部給電機能の認知度を高めるとともに、社会的な価値を見出す

江井
私はこれまでのコンサルティング業務を通じて、さまざまな業界や自治体の方々との共同事業を経験してきました。そうしたネットワークを活用し、Honda様が開発された外部給電器の社会活用を検討していくことが私の役割だと思っています。これまで、市場投入・販売に関わる戦略構築や、社会実験やプロモーションイベントの企画・運営をサポートしてきました。
松嶋
アビームさんは幅広い企業や団体とのつながりをお持ちなので、非常に頼もしい存在だと思っています。FCVの「つくる・つかう・つながる」というコンセプト、特に「つながる」の部分を社会へ広く浸透させるための企画面でご協力いただき、心強く感じています。
中尾
外部給電という機能をいかに社会に分かりやすくアピールしていくか――その戦略を再構築していくというところからのスタートでした。そもそも「外部給電」という言葉自体、まだ一般的には浸透していません。まずは、外部給電の認知度を高め、同時に社会的な価値を広めて、社会で実践していく。そのためのプロジェクトの企画や仕組みづくりを当社が担っていきました。

丸の内仲通りのイルミネーションを、外部給電により灯す

松嶋
2015年のクリスマスに実施した「丸の内仲通りクリスマスイルミネーション」のプロモーションは、まさにアビームさんのご協力により実現した企画でしたね。
江井
丸の内仲通りは「国家戦略道路占用事業」の適用区域に指定されており、国際競争力強化に向けた活用を認められています。同エリアの三菱地所株式会社(以下、三菱地所)さんとは以前からお付き合いがあり、仲通りを活用したイベント企画の相談を受けていました。そこで、道路上のどこでも電源として活用できる外部給電器を紹介したところ、「Hondaさんと一緒に何かやってみたい」という話になったのです。
中尾
最初は、キッチンカーやオーディオの電源として外部給電器を活用しようというアイディアだったのですが、最終的にはイルミネーションを灯すというところまで発展していきました。そこはHondaさんの強い要望がありましたね。
江口
「仲通りでのイベント」というお話をいただいた時から、FCVから外部給電を用いて丸の内のイルミネーションを灯す。これをしなければ、一般の方には理解していただけないと、最後までこだわりました。
江井
私もHondaさんの熱意をひしひしと感じました。イベント実施の直前まで調整を重ね、最終的にイルミネーションを点灯できたことで、ここまでインパクトのある取り組みになったのだと思います。
松嶋
実際に、新聞をはじめ複数のメディアに取り上げられるなど、大きな成果がありましたね。イベント当日は現場に立ち会いましたが、歩行者の方に「車からこの電気を付けているんですよ」とお伝えすると「すごい!」という驚きの声がたくさん返ってきたことが印象的でした。
江口
これまで展示会でのプロモーションを複数回実施してきましたが、ビジネス視点または、技術的な視点での話が中心でした。このイベントでは、社会にオープンな環境で一般の方々がイルミネーションを見に来た中、足を止め、車からイルミネーションを灯していることに興味を持っていただき驚きの声をたくさん頂戴したことに、感銘を受けました。本イベントにより車から電気を使えるという車の新たな価値、そしてその平時の活用方法を訴求できたことは非常に大きな効果があったと感じています。
江井
私自身、外部給電器が社会に浸透すれば、街と車の関係を変え、さらに人々のライフスタイルを変える可能性を持っていると信じています。このイベントでは、その一端を示すことができたのではないでしょうか。三菱地所さん側からも、新しい街や道路の使い方、地域活性化のあり方につながる可能性を感じたというお言葉をいただきました。

街頭イベントプロモーション

丸の内仲通りクリスマスイルミネーション

丸の内仲通りを歩行者に開放する「丸の内アーバンテラス」の一環として、2015年12月24日~ 25日の2日間、街灯のイルミネーションやキッチンカー、オーディオセットに、FCV及びEVから外部給電を行うプロモーションを実施しました。場所を問わずに街灯や飲食、音楽用の電気を供給でき、排気ガスがなく音も静かな外部給電の魅力を、たくさんの一般歩行者の方々に示すことができました。

災害時における外部給電の活用方法を、自治体とともに検証

江口
2016年2月に開催された「東京都・千代田区合同帰宅困難者対策訓練」にも参加しましたが、この取り組みも、アビームさんにきっかけをつくっていただきましたね。
江井
2015年11月頃、東京都主催の帰宅困難者訓練を翌年の2月に実施するという情報を得て、Hondaさんにご協力いただきながら自治体の方と協議を重ね、外部給電のデモンストレーションを実施することができました。私が土壌を見つけて種を蒔き、それを大きく育て上げていただいたのがHondaさんです。最終的には、ほかの自動車メーカーも巻き込んだ大規模な訓練になりました。
中尾
このデモンストレーションで特に良かったのは、災害により帰宅困難者が発生した際に起こりうる場面を複数想定して電気の供給を行ったことです。こうした取り組みの積み重ねが、実際の災害時の効率的な対応につながるのだと思います。
八方
災害時に外部給電を活用していただくためには、自治体や地域の方々ご自身に、外部給電器の使い方や有効性を知っていただく必要があります。今後もこうした災害訓練などに積極的に参加し、一人でも多くの方々に伝えていきたいと思います。
松嶋
丸の内仲通りのクリスマスイルミネーションが外部給電の平時(平常時)の使い方なら、こちらは有事(緊急時)の活用方法です。レジリエンス性は、平時・有事のいずれにも活用できて初めて有効だと定義されています。両方のイベントを開催できたことは、外部給電の普及に向けて大きな一歩になったと確信しています。

災害対策デモンストレーション

東京都・千代田区合同帰宅困難者対策訓練

2016年2月8日、首都直下型地震を想定した東京都と千代田区の合同帰宅困難者対策訓練に参加。非常時の避難・待機場所に指定さている日比谷公園で周辺のオフィスビルなどから集まった約600名の参加者の前で、情報通信機器や照明、暖房器具などにEVから外部給電を行うデモンストレーションを実施しました。さらに初の試みとして他社電動モビリティとPower Exporter 9000 の接続デモンストレーションも行いました。

将来的な世界展開も見据えて、外部給電の社会浸透に貢献していく

松嶋
私たちには三菱地所さんや自治体とのパイプもありませんでしたから、アビームさんにご協力いただけたからこそ、これらのイベントが実現できたと感じています。
江井
私たちこそ、将来のエネルギー社会の実現という壮大なプロジェクトの一翼を担う取り組みに参加させていただき感謝しています。今後の展開については、どのようにお考えですか。
八方
一般の方々に認知いただき、社会に浸透させていくためには、より一層の訴求が必要だと感じています。訴求方法としては3つあります。1つ目はCO2フリーの水素社会実現という「エコ」の観点、2つ目は「レジリエンス」、そして3つ目は「平時の快適で便利な使い方」です。今後もアビームさんとともに、各切り口から外部給電の優位性を社会に分かりやすく示していきたいと思います。
江口
車から電気を取るという新しい価値を、もっと世の中に普及させていきたいですね。同時に研究所としては一般の方が手に入れやすい価格とすることで普及を後押しすることが必要だと思っています。一般の方々への訴求という点において、アビームさんに期待するところは大きいです。ユーザーの掘り起こしや訴求方法の検討など、コンサルティング力を存分に活かした取り組みに期待しています。
中尾
以前、Hondaさんの実証実験ハウスで、EVからの外部給電を活用した新しい生活スタイルを見学させていただき、外部給電のポテンシャルを実感することできました。外部給電器があれば、これまで電気が通じる室内でしかできなかったことを、屋外のどこでも行うことができます。まさに人々のライフスタイルを一変する可能性を秘めたデバイスです。その魅力を分かりやすく社会に提示し、外部給電器の普及や、Hondaさんが目指す将来のエネルギー社会の実現に貢献していきたいと思います。
江井
Hondaさんは日本の企業であると同時に、国境を超えて事業展開されているグローバルカンパニーでもあります。自動車も発電機も、国内の数倍もの規模を海外で販売されています。現在、日本で礎をつくっている外部給電も、いずれは世界に展開されていくことでしょう。そのためには、日本社会への浸透はもちろん、将来的な世界展開も見据えた仕掛けを今から準備していく必要があります。今後も、当社が持つコンサルティング業務のノウハウや産官学のネットワークを活用し、Hondaさんの取り組みをサポートしていきたいと思います。