Pro bono 本業で培ったスキルを社会貢献活動に活かす

職能を活かした社会貢献活動
「プロボノ」を推奨

会社員などの社会人が本業で培った専門知識やスキルを活かし、社会貢献活動に参加することを「プロボノ」といいます。当社では、CSR活動の一環として社員のプロボノ活動を推奨しており、多くの社員が自らの職能を活かして社会課題の解決に取り組んでいます。また、個々の社員がプロボノ活動の現場で得た経験が本業に還元されることで、当社の事業推進力の強化にもつながっています。

Case1
齋藤 直毅
シニアコンサルタント
戦略ビジネスユニット 経営戦略セクター
本業とプロボノ活動を両立し、児童買春問題の解決を目指す組織を支える

先輩社員の誘いがプロボノ活動を始めるきっかけに

©photo by Natsuki Yasuda / studio AFTERMODE

私がプロボノ活動を始めたのは、入社3年目の2011年の夏に、ある先輩社員から「かものはしプロジェクト」に誘われたことがきっかけです。尊敬する先輩からの誘いを断ることはできないという動機で参加したのが本音で、当時はプロボノというもの自体知らず、かものはしプロジェクトの活動内容も理解していませんでした。
かものはしプロジェクトは2002年に設立された日本のNPO法人で、世界の児童買春問題の解決に取り組んでいる団体です。主に需要(買い手)をなくすための法の執行強化(警察支援)と、供給(売り手)を減らすための貧困層への仕事の提供や教育支援などを東南アジアの現地で進め、そのために必要となる活動資金の調達を日本で行っています。現在、正会員が約70人、サポーター会員が約3,900人、そしてボランティア登録をしているスタッフが約600人在籍※しています。
※2016年5月時点

目標を数値化し、メンバー全員で共有する

かものはしプロジェクトの資金調達活動では、イベントを開催して人を集め、会員になっていただいた方から寄付を募る方針を基本としています。私が最初にお手伝いをしたことも、2カ月後に迫ったイベントの集客と資金調達の方法を考えるというものでした。活動に参加すると、メンバーの活動に対する熱量の高さを感じる一方で、その熱い思いを具体的に取り組みにどのように反映していくかというところに助けが必要なように感じました。
より戦略的かつ計画的に人を集め、寄付金を募るため、まず目標とする寄付額を定め、それを達成するための戦略・計画をメンバー間で共有するところから始めました。準備期間は短かったのですが、イベントでは目標とする寄付額を調達することができ、一緒に取り組んだメンバーからも感謝の言葉をもらい、私自身、本業とは異なる達成感を得ることができました。

資金調達戦略の見直しに向け、
コンサルティングスキルを活用

このイベントの成功がきっかけになり、かものはしプロジェクトの運営に携わる方から「資金調達の戦略立案に協力してほしい」という相談を受けました。私の中には、本業で培ってきたコンサルティングスキルが社会的な課題解決のために役立ったという満足感とともに、もっとできることがあるのではないかという気持ちが芽生えており、この誘いを快く受け入れました。
資金調達方法を考える上で、最初に実施したことは以前までの資金調達戦略の見直しです。それまでは、50~60代の生活に余裕がありそうな年配層をコアターゲットに講演会を開催し、参加者に入会と寄付をお願いしていました。しかし、現有会員を分析すると、社会的な問題に対する意識や共感度が高い方が20代後半に多いことが分かり、この世代をコアターゲットに据え、従来とは異なるさまざまなアプローチを実施しました。
また以前は、イベント開催後に日を改めて入会勧誘メールなどを送っていたのですが、イベント当日にタブレット端末などを用いて入会方法をご案内し、共感度が高まっているうちに申し込んでいただけるプロセスを構築しました。
ターゲットを定め、特性を分析し、それに相応しい効果的なアプローチ手法を開発・実行する――ビジネスの世界で実施しているプロセスを、ソーシャルセクターの現場に持ち込んだのです。それらの取り組みが効果を発揮したこともあり、資金調達額は年々拡大し、最近では当時より約1.5倍にまで増えています。

プロボノ活動を通じて、
本業ではない出会いを経験

©photo by Natsuki Yasuda / studio AFTERMODE

コンサルタントとしての自分のスキルが、ビジネスとは異なるソーシャルな場面で活かせたことで充足感を得るとともに、本業のモチベーションも高まるという好影響がありました。また、ほかにも2つの点で、自分の変化を感じています。
1つ目は、日頃のビジネスの世界では決して触れ合えないような人と出会うことで、自分の視野が広がったこと。
2つ目は、本業よりも上の視点・役割を経験することで、自分の成長につながったことです。かものはしプロジェクトには登録型の社会人ボランティア組織「かもカフェ!」というものがあり、これはかものはしプロジェクトの問題解決に自分のスキルがマッチしていると思う人が、自分が使える時間に応じてそれを活かす、という緩やかな枠の中で進める仕組みです。現在600人程度のボランティアが登録しており、その組織のマネジメントを行うことを経験できました。
入社から数年の若手がこれほど大規模なマネジメントを任されることは考えられません。コンサルタントとして成長していく上でも、得難い経験になりました。

専業ではない新たなスタイルをつくり上げたい

これからも自分のコンサルティングスキルを活かしたプロボノ活動を継続していきますが、私の本業は、あくまでもアビームコンサルティングにおける業務です。そこで収入を得ている立場として、本業に支障が出るほどプロボノ活動にのめり込むわけにはいきません。
そこで私は、プロボノ活動に携わる時間を1日1時間程度までと決めています。「やるならどちらも100% の力で」という方もいるかもしれませんが、それは現実的ではないと考えています。実際に、私がこれまで見てきた方も、一部の人はビジネスを捨ててソーシャル専業になり、大部分の人はソーシャルをあきらめてビジネスの世界に戻ってしまっています。私は、本業と両立しながらプロボノ活動を続け、長期的に活動を行うことで効果を最大化したいからこそ、制限を設けた中で最大限の取り組みを行いたいと考えています。
今後の目標は、私のように企業で働きながら社会貢献活動にも参加する方を増やしていくことです。一人ひとりの活動時間は短くても、企業で働く多くの人々がプロボノ活動を行えば、社会問題の解決に大きなインパクトをもつことができるのではないでしょうか。
ビジネスとソーシャルの垣根を越えた新たなワークスタイルを定着させ、日本にプロボノ活動がさらに根付くように貢献していきたいと思います。

■齋藤氏が目指す、社会貢献活動の新しいスタイル

「かものはしプロジェクト」ご担当者様のコメント

経営リソースの課題など一緒に改善していきましょう。

齋藤さんには、資金調達戦略の見直しや「かもカフェ!」の運営をはじめ、分野を問わず当団体のニーズに応じたサポートを幅広く実施いただいています。また、私たちのミッション達成に向けて何度も議論を重ねさせていただくなど、私たちと同じ目線で活動いただき、心強く感じています。
今後は、人事制度改革をはじめ、当団体が児童買春問題を解決していく上で足りない経営リソースをご提案いただき、その改善を一緒に着手していければと思っています。これからも、当団体の基盤強化にご協力いただけましたら幸いです。
  • ファウンダー/
    共同代表
    村田 早耶香
  • ファウンダー/
    共同代表
    本木 恵介